こそあど記録中

小学生の子を持つお母さんで音大生。育児、教育、ピアノのことなど。

憧れのアルゲリッチさんのコンサートへ。

令和元年5月24日(金)大安

5月24日金曜日の夜、私にとってすごいことが3つおきました。

 

私は、世界的に超有名で超すごいピアニスト、マルタ・アルゲリッチさんのファンです。アルゲリッチさんのピアノは、憑依系といいますか、とにかくすごい。すごいとしか言えないんだけど、あんな人いない、っていう唯一無二のピアニストです。鳥肌が立ち、魂が揺さぶられ、それを支える尋常ならざるテクニックにも圧倒されます。おなじ人間とは全く思えません。

 

まずマルタ・アルゲリッチという一人の女性の人生がすごくて、凡人代表みたいな私とは最初っから違います。1941年アルゼンチンに生まれ、幼少のころからすでに天才的で、1965年にはショパンコンクールを制したピアニスト。今なお衰えるどころか、魅力は増すばかり。神童、天才、しかも超美人の人生ってどんななんだろう。

 

DVDもどれだけ見たかわかりませんし、本も熟読しました。

 

コンサートチケットが取れた!

これまではYouTubeで演奏を食い入るように見たり、DVD、CDで演奏に触れて「すごい」と圧倒されているのみでした。ところが去年から今年にかけて、「アルゲリッチのコンサートに何が何でも行かなければ」という思いに切り替わり、とうとう4月某日、チケット発売の日にパソコンに張り付いてチケットを取りました。

 

日本生命プレゼンツ

ピノキオ支援コンサート

アルゲリッチ ベートーヴェンを弾く

~ピノキオコンサート100回記念

別府アルゲリッチ音楽祭・水戸室内管弦楽団共同制作

 

 発売開始から3分後にはローチケが重くなり、「完売しました」表示に。チケットをとれたことは幸運の一言です。

 

今回とったGS席は25,000円で、子供と2人で手数料含めると5万円を超えるチケット代。小学生の子供にアルゲリッチのすごさや生演奏を聴けることのありがたさなど伝わらないかもしれないけど、私が行きたいんだから仕方ありません。子供を置いてコンサートを楽しもうにも、夫は仕事であてにならないし、小学2年生の子を一人で夜お留守番させておくわけにもいかない。

 

ちなみに、このコンサートは「ピノキオコンサート」といって「音楽を通して次世代を担う こどもたちの豊かな心を育む」目的のもの。コンサートの収益金はすべてその基金に充てられます。

 

子供向け、クラシックコンサートのマナー

5月24日(金)、子供と2人、すごすぎるピアニスト、アルゲリッチの演奏を聴きに出掛けました。

 

第一部

水戸室内管弦楽団(指揮者なし)

F.J.ハイドン/交響曲 第6番 ニ長調 Hob.I-6 《朝》

A.ウェーベルン/弦楽のための5つの楽章 op.5

 

19時開演のコンサート。子供は眠くなってくるにきまってます。

何度も子供をクラシックコンサートに連れて行っていますが、クラシックはしーーんと静かに演奏を聴くので、子供にもしっかりマナーを教えておかないと周りの迷惑。

  • 演奏が始まったら声を出してはいけない。「ママ・・・」など、たとえ小声でも話しかけてくるのは絶対にダメ。
  • きょろきょろしてはダメ、他のお客さんが気になってしまう。
  • 頭や体をもぞもぞしてはダメ、後ろのお客さんに迷惑になる。

 

といった一般的なことを伝えつつ、最終的に念押しするのはたった一つ。

それは、「眠たくなってきたら眠ってよい、というか眠りなさい」です。

 

眠気を我慢してもぞもぞ、ぐにゃぐにゃ頭や体を動かすくらいなら、すやすや寝ている方が周囲の迷惑にならない。寝息がうるさい子は別ですが。
眠っていても脳は音楽を聴いているだろうし、遠慮せず眠るように言っています。
小学生の子供が、素晴らしい音楽が奏でられる空気と生演奏の緊張を感じられる空間、そこに身を置くだけで十分だろうと思うことにしています。

 

上皇ご夫妻、小澤征爾さん、アルゲリッチ。

第二部
L.v.ベートーヴェン/ ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 op.19

 

さて休憩の後、いよいよアルゲリッチさんが登場する第二部です。

 

いよいよアルゲリッチの演奏が迫っていることを実感して、そわそわ、わくわく。そんな第二部直前に、会場全体がどよめき、大きな拍手が鳴り響きました。

なんと、上皇ご夫妻がいらしたのです。

 

階は違いましたが近い距離ではっきりとお姿がわかったので、子供も上皇ご夫妻のお姿に大感激。一生懸命拍手をしていました。まさか上皇ご夫妻と同じ空間にいられるとは、素晴らしいことです。

 

その喜びに浸っていると、ステージにアルゲリッチさん登場。画面の中での存在が、今、目の前に!

ん?

え!?

あ!

なんと、小澤征爾さんがアルゲリッチのお隣にいらっしゃるではありませんか。入院なさっていたりしたので、小澤征爾さんが指揮者で登場なさるとは思っていませんでした。

 

大急ぎで子供の耳元で、「今、前に立っているのがアルゲリッチさんと、指揮者の小澤征爾さん。アルゲリッチさんの生演奏を聴くことも、小澤征爾さんが指揮する音楽を聴くことができるのも、すごいことだから!」と大急ぎでインプット。

「でも寝ていいからね」とくぎを打ち、あとは音楽に集中しました。

 

小澤征爾さんが振る指揮棒にはエネルギーがあふれ、アルゲリッチさんの、鍵盤の上を自在に動く指、奏でられる音楽からほとばしるベートーベンの魂。

小澤征爾さんの指揮で、アルゲリッチさんの演奏で、上皇陛下と上皇后陛下もいらして。素晴らしい時間でした。

 

幸せな時間と反省する自分と慰められる自分

夢を見てるような、幸せな時間。終わらないでほしい、と思いつつもコンサートは終わりました。アルゲリッチさんにも、小澤征爾さんにも、水戸室内管弦楽団にも客席総立ちでの鳴りやまない拍手が響きました。

 

私はいろいろサボって生きてきたなあって反省しました。ピアノで才能をあらわすでもなく、勉強もそれなりで、仕事もまあまあで。

 

一方のアルゲリッチは1941年生まれの77歳。幼少のころにはすでに才能を開花させた神童。ピアノこそ我が人生と言える人生を歩み、77歳の今なお、心を動かす演奏で世界中を魅了する。ひたすらピアノが好きなんだと思うし、そのピアノでこうして大勢の人に感動を与え、基金を通して自身の演奏を社会に役立てる活動をしている。

同じ人間なのに、私のサボりようったら。

 

マルタアルゲリッチ 子供と魔法

マルタアルゲリッチ 子供と魔法

 

 

音大のレッスンで「アルゲリッチの演奏を聴き、私は自分のことを恥じました」と先生に言ったら、同じ人間だと思っちゃだめだ、とのこと。先生とアルゲリッチさんは実は縁があるようで、そのうえで「天才だから。同じ人間じゃないから」と慰められました。

また、娘のバイオリンの先生もアルゲリッチさんと同じステージにのぼったことがあるそうで、「演奏を聞いたとたんに鳥肌が立った。アルゲリッチは本当にすごい」とのこと。

 

自分とアルゲリッチを比べること自体が最初から間違いなんだな。誰かと比べてへたっぴだからってお勉強をやめてたら何にもできないしね。